・九龍妖魔學園紀で皆守×主人公です。
・未来捏造です。ご注意下さい!
・↑二人揃って《宝探し屋》やってます。
・それでも宜しければ続きからどぞ。
「トリックオアトリート!」
玄関を開けたら両手を差し出す形で相棒が出迎えた。満面の笑みだ。
「あぁ…十月三十一日か…」
もうそんな時期か、と銜えていたアロマパイプを指に移し欠伸を一つ。あっという間に年の瀬だ。今年は仕事を上手く遣り繰りして年末年始はしっかり休もう。砂埃の舞う暗い穴倉で年越しだなんて冗談は御免被る。
(年越しはやっぱりフランスより日本だな)
コタツ。蜜柑。年越し蕎麦。よし、カレー南蛮にしよう。
コタツも出さないといけない。自分の体質的に、寒くなってからでは遅いのだ。
明日の家事にコタツの支度を追加しつつ、取り敢えず今晩の夕飯の支度から考えるか、とダルダルと思考を働かせながら靴を脱ぐ。もう一度欠伸をし、両手に荷物を持ち直した。――――所で、待てと声が掛かった。
「トリックオアトリート!」
「…あぁ、悪い忘れてた」
「トリック、オア、トリート!」
「後で出してやるから」
「トリックオアトリート~…っ!」
「今時、何処の犬でも『待て』は出来るんだがな」
「…………とりっくおあとりーと…」
「………………」
腰に纏わり付くデカイ子供を引きずりながらリビングの扉を開ける。腰が弱いのを知っていての行為だ。嫌がらせ以外の何物でもない。
ソファーまでそのまま連れて歩き、べりりと腕を剥がしてソファーに放り込む。途端に不満そうな声が上がる。それに構わず買い物袋を漁る。
「トリックオア…トリート!」
「はいはいはいはい」
癇癪持ちの子供さながらにソファーの上で手足をばたつかせる相棒を片手で宥めすかしながら、尚袋の中身を凝視。…買った板チョコ何処行った。
「…あった」
黒白二つのパッケージを眺め、一拍後黒いパッケージの方の銀紙を剥がして一口大に割る。
「とりぃ~とぉ~っ!」
「…………」
早く早くと荷物を漁る背中に纏わり付いていた相手をまたべりりと剥がし、きちんとソファーに座らせる。期待に満ち満ちた顔に素早く指を滑らせ煩い口を自らのもので塞いだ。
「ん…………んん?」
歯列を舌で突くと直ぐに開かれ温かい舌がするりと巻き付いて来た。それを押し戻すように、予め口に含んでいたモノと一緒くたに押し込む。直ぐに不審な呻きが洩れたが、構わずさっさと唇を解放した。
「それで良いだろ」
「…………」
眺め下ろした顔は微妙だった。暫くして咀嚼していた口をぱっくり開けて、苦い、と一言。
「…カカオ九十八パーセントだからな」
「それはもうチョコじゃない!カカオだ!残りの二パーセントは寧ろ何だ!」
優しさ?、と適当に応えてやると、不満タラタラな様子で両腕をこちらへ伸ばしてきた。
「却下!だからトリックね!」
伸ばされた腕を取って引っ張ってやると、背伸びをするように首に腕を回してきて逆にソファーに引きずり下ろされた。展開を察していたので顔を潰さないように両耳の辺りに手を着いて身体を支える。覆い被さるような形で見下ろした顔がにんまりと笑う。
「……何だ。トリックの方が希望か」
それなら初めからそう言え。
片眉を上げると、首に回した腕に力を込め近付いた頬に誤魔化すように軽く唇が触れた。だって面白くないでしょ?、と囁かれた気がして一つ溜め息。
「ねぇ、甲ちゃん。トリックオアトリック?」
「…………」
結局、悪戯してよ、と言った口を再度塞いで、次いで取り敢えず絡んできた舌に歯を立てた。
痛い、と跳ね上がった肩を抑え付け、片手で余り伸びない頬をぐんにょりと引っ張ってやった。
――――俺で暇潰ししてんじゃねぇよ。
THE 勢い。
お雛様からだいぶ経ったなぁ…。
続編の『It's a~』を読んだ人から見たら九龍が別人に見えるんだろうなぁ。
最終的にはこうなります。
お互いデレッデレ。
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