・剣風帖で京一×主人公です。
・主人公の名前はデフォルトの「緋勇龍麻」。
・剣風帖第六話『恋唄』の話。
・それでも宜しければ続きからどぞ。
龍麻が学校を休んだ初日、下校途中に京一は仲間内には何も告げずに龍麻のアパートを訪れていた。勿論、龍麻の様子を見にだ。
たまたまサボりたい気分だったのかも知れない、と無理矢理自分達を納得させた醍醐達に京一自身も頷いたが、どうにも龍麻の不在と夢の内容が関係があるような気がしてならなかった。ジワジワと夢に浸蝕されるように、血濡れた龍麻の姿が脳裏に断続的に甦り始め、居ても立ってもいられずに龍麻の部屋を訪れた。
何もなければ良いが、何か遭ったのだったら力になってやらないと、と言い訳がましく心中で呟きながら、京一はアパートの龍麻の部屋のチャイムを鳴らした。
初めは何気なくチャイムを鳴らしたが、よくよく気配を窺って見ると、龍麻所か人の気配が全くしない。出掛けているのだろうか、とふと目線を下げて、郵便受けに雑多にチラシが突っ込まれている事に気付いた。今朝の朝刊らしきものが他のチラシが邪魔だと言わんばかりに端の方に無理矢理刺さっている。
嫌な予感がした。否、嫌な予感しかしなかった。
郵便受けに今朝の朝刊。部屋の中には誰もいない。とすれば、龍麻は昨日から家に帰って来ていない事になる。
昨日は自分が職員室に呼び出されて遅くなってしまい、龍麻は先に帰ってしまっていた。何か遭ったとすれば下校途中。しかし、昨日龍麻が辿ったであろう帰宅路を通って来たが、何か遭った様子はなかった。何かあれば、嫌でも感覚に引っ掛かる筈だ。
ざわり、と全身に鳥肌が立った。
真っ直ぐに帰らずに何処かへ寄ったとしか考えられない。誘き出されたのだろうか?だとすれば何故?どうして一人で?
――――そんなに俺は信用出来ねぇのかよ!
苛立ち紛れにドアに拳を打ち付けた。
判っている。京一を蔑ろにした訳ではない事くらい。何か理由があった事くらい。
それでも、悔しくて、悲しくて、寂しくて。自分を頼ってくれなかった龍麻が、頼ってもらえなかった自分が、腹立たしくて仕方なかった。
「くそっ…!」
もう一度主のいない部屋のドアに拳を打ち付け、京一はその場を後にした。乱暴に歩き始め、段々と早足になる。最後には駆け出し、全速力で新宿の街を巡った。
(龍麻…龍麻…龍麻!)
大通り、路地、小道。手当たり次第に走り回りながら龍麻の事ばかりが思い浮かんだ。
笑った顔ばかり思い出され、そういえば怒った顔や泣き顔は見た事がない事に思い至る。
――――泣き顔。
夢の中の泣き出しそうな龍麻の顔が浮かんだ。
あんな顔、させたくない。させてなるものか。
京一はギリリと奥歯を噛み締め、夕闇を駆けた。
短めで済みません。
どうしても区切るとこんな感じになってしまって…。
それからまだ京一に自覚症状はありません。書いてる私がやきもきします。
もうだいぶ矢印向いてるんですけどね(笑)
続きます。
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