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★諸注意★
・剣風帖で裏密&主人公です。
・主人公の名前はデフォルトの「緋勇龍麻」。
・京一×主人公前提。
・恋歌のおまけ話です。
・剣風帖第六話『恋唄』の話。
・それでも宜しければ続きからどぞ。





心配かけた、と言ってぺこりと頭を下げた龍麻に、霊研の主は分厚いレンズの先の瞳を細めた。

「あら~、なぁ~んの~こ~と~?」

首を傾げて見せたら、顔を上げた龍麻が小さく笑った。
どうぞ、と裏密が席を勧めれば素直に着席する姿に、彼女は不気味な笑みを閃かせて再度首を傾げて見せる。

「たぁ~つま~く~ん。す~なおね~?」
「…そう?」
「術師~の言うこ~と~、信用~し過ぎ~ちゃ~ダメ~よ~?」
「気を付ける…でも…今、俺の前に…いるのは……ミサだから」

だから問題ない、とふわりと笑って見せるから、裏密も肩を竦めるしかない。
元通りと言うには氣は万全ではないが、衰弱していた為に一時的に不安定になっているだけだろう。問題は精神状態だが、こちらは狙い通り浮上したようだった。

「光~は~手にし~た~ようね~?」

お気に入りの人形を弄びながら龍麻を覗き込めばくすぐったそうにはにかんでいて、裏密は人形をそっと龍麻に手渡して卓上に頬杖をついた。

「桃色だわ~」
「どこ、が…?」
「そ~ゆ~惚気た~ところ~」
「……そう」
「う~ふ~ふ~ふ~」

指摘に平然と返しているようだが、内心はドギマギしているようだ。証拠に、渡した人形は既に彼の手の中でクルクルと踊らされてしまっている。見た事もないような軽快に可愛らしく動く人形に、裏密は笑みを深くした。
表情が少なく、考えの読み取りにくい龍麻だが、こちらに汲み取る意思さえあればなんて事はない。一見大人びて見える彼だが、実際は年頃の少年とそう変わらない。いや、少し幼いとさえ感じる一面を持っている。裏密にはそれが特筆すべき点には見えないけれど。
転校して来た時から。一目見た時から、裏密には彼の本質は視えていたから。
だから、優しい彼にはこちらが強く心配するより効くと考えて発破をかけたし、わざとだと判っていたから退かなかった。
後の事は京一自身がなんとかするだろうと丸投げした所もあるが、実際に京一の恋愛運も事実ではあったから、予想通りと言えば予想通り。流石にどこまで進展するかまでは判らなかったけれど。
龍麻の気持ちの動きには気付いていたし、京一の好きの種類にも気付いてはいたから、良い所に落ち着ければと二人の背中を少し押しただけに過ぎない。

「た~つま~く~んは~、今幸せ~かしら~?」
「うん」

からかい半分喜び半分で問えば、淀みなく肯定が返った。
あらら、と裏密は内心で苦笑した。
照れると思ったのに。
鋭いようで鈍い、察しが良さそうで天然。
それが彼の魅力でもあるけれど、一筋縄ではいかない所も流石だ。
不思議そうに首を傾げながら人形を返してきた龍麻の顔には、裏密の問いに対する何故?しか見受けられない。

「……本当に~凄いわ~。ミサちゃん惚れちゃう~」

幸せかに対する自分の答えの何処が凄いのか。きょとんと目を丸くする龍麻がより幼く見えて、裏密は不気味に笑いながら人形の手を取って振った。

「気に~しない~で~。それより~もう~そろそろ~戻った方が~良いわ~よ~?」
「…?」
「京一~く~ん、待ちくたび~れてる~みたい~」
「あ…っ」

そうだった、と視線をさ迷わせた龍麻が名残惜しそうに席を立つ。
何時だって来れるし、逢えるのに。そういう可愛らしい所も彼らしい。
本当は今日くらいは独占していても良さそうではあるが、案外気が短く焼き餅焼きな京一が迎えに来てしまったら龍麻が可哀想だ。自分で背を押した手前、引いた方が良いだろう。
龍麻からは死角にある水晶球には、机に突っ伏して不貞寝している留守番犬の姿。
潮時、とひっそり肩を竦めた。
こちらを振り返って、また、と扉をくぐり抜けようとする龍麻に意識を戻し、裏密はにんまりと微笑んだ。

「お幸せに~。ひーちゃん?」

扉に手をかけたままの状態で、龍麻がきょとりと目を丸くした。しかし脳内に言葉がちゃんと認識された瞬間、みるみる内にその顔は紅潮していく。
何故それを、と言いたげに開き掛けた口は、しかし直ぐに引き結ばれて、代わりに恥ずかしそうな笑みが浮かんだ。
その様子に満足げにひらひらと手を振る裏密にもう一度暇を告げて、からりと扉が龍麻の姿を見えなくさせる。

「ごめ~んね~、京一く~ん」

私が一番乗りで、と笑った裏密の視線の先、水晶球に映る姿がくしゅんと一つ、くしゃみをした。
――――そんな京一が龍麻の愛称を呼び始めるのはもう少し後の事。
 


おまけの後日談。
ミサちゃんは話し方が特殊で難しいですが、動かしやすくて好きです。
ごめんねは、愛称呼び一番乗りしちゃって、な意味。
まさかの好感度トップ(笑)
京一との関係は、ミサちゃん以外にもきっと空気でバレるんだと思います。バレッバレ(笑)

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