・外法帖で京梧×主人公です。
・主人公の名前はデフォルトの「緋勇龍斗」。
・ちょっと短めです。
・それでも宜しければ続きからどぞ。
朝起きたら布団の中にもう一人。
「龍斗…なんでこっちで寝てんだおめぇはよ…」
寝苦しい筈だ。掛け布団をめくって見れば、がっちりとしがみついて離れない小柄な身体。見た目に反して馬鹿力なのだから質が悪い。締め付けられている訳ではないが、片腕を背中に回して胸元にくっつかれてなんてされていたら寝返りも打てないではないか。
ぽんぽんと背を叩くと、小さく非難する声が上がる。文句を言いたいのはこちらである。しかし――――。
(駄目だ…起こせねぇ……)
眉をハの字に下げた顔を胸元に擦り寄せられてしまえば諦める他ない。惚れた弱みだ。ぐずる様子が可愛く思えてしまう…いや、実際に可愛いのだけれども。
さらさらの髪だとか、長い睫毛だとか。先日付けた欲の痕が目に痛い白い膚だとかがさぁ襲って下さいという合図にしか思えない。あぁ、言ってる傍から胸に寝息を掛けるんじゃない。
ぐっと歯を噛み締め堪えるが、流石に寝起きで理性がぼんやりとしか働かず、直ぐに本能に負けそうだ。
「たつとぉ…?」
欠伸混じりに名を呼ぶが、安らかな吐息が返るだけ。
暫くして、んー、と鼻を通った声が上がるがこれと言って変化はない。
「…襲っちまうぞぉ?」
襟元にそっと手を差し込んでみても反応無し。
少し意地になって肩の方まで肌を撫で上げてみるが龍斗はお構いなしに寝続けている。
こちらの方が負けそうだ。早々に懐から手を取り出して深く嘆息。襲ったら負けだ。しかしこのまま龍斗を起こす事が出来なくても負けのような気がする。しかし、後はもう力に頼るしか方法が思い浮かばない。撲る。蹴る。力の限り引き剥がす。
(――どれをやっても後が怖ぇな……)
力での報復か、はたまた泣き落としか。どちらも御免被るが、泣かれるのだけはいただけない。怒るなら良いが、こんな事で哀しませたくはない。
(こりゃ負けたか…?)
腑に落ちない。
探せば起こす方法なんぞいくつもあるだろうに、どれも行動に移せない己が情けない。
結局、龍斗が好きなのだ。撲れる訳がないし、信頼し切って寝てる所を起こす事なんて出来っこなかったのだ。
「あぁ、もう…俺の負けで良いかぁ…………」
睡眠削ってまで問答する中身でもない。龍斗が好き。だから起こせない。則ち己が敗者。簡単な事だ。
掛け布団をしっかりとかけ直して龍斗の腰を抱き寄せる。滑らかな黒髪に顔を埋め、瞼を閉じた。
「おやすみ…」
柔らかく紡げば、応えるように背に回った指に力が込められた気がした。
「蓬莱寺。首、何かしたのか?」
「あん?」
「いや、こう…少し斜めになっていないか?」
「……寝違えただけだから気にすんな」
寝返りが打てなくて、と言えば、何かを察した雄慶が口許だけで笑った。
うるせぇな。放っとけ。
しがみ付いて寝る癖があるらしい。というか癖がついたらしい。京梧さんに対して。
くっついて寝てると安心すると気付きました。京梧さんも分かってるから、だから無下に出来ません。
他の人と一緒だったらちゃんと寝てるんじゃないかな(笑)
雄慶は二人の仲を温かく見守る派です。
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