・剣風帖で主人公と京一。
・主人公の名前はデフォルトの「緋勇龍麻」。
・ダイジェスト?な短めの話です。
・それでも宜しければ続きからどうぞ。
高校最後の年に転校してきた男は、やけに美人な優男だった。
「宜しく…京一?」
確かめるように名前を呼び返した男が小さく首を傾げながら顔を見上げて来た時、目許まで隠れる程の長さの前髪がさらりと流れて、容姿がはっきりと見えた。
簡単に言えば女顔の一言に尽きるのだけれど、そこいらの女なんて足元にも及ばない程、男は『美人』だった。
蓬莱寺京一ともあろう者が、思わずポカンと口を開けて固まってしまったのを覚えている。
疑問を含んだ語尾上がりの自分の名に直ぐに気付いて内心の動揺を隠しながら頷いてやると、男はふんわりと笑み返してきた。
その時、花が綻ぶように、という形容詞を、初めて男相手に思った。
初めは、学園のマドンナこと、美里葵が彼の世話役になった事に不満げな馬鹿なクラスメートを牽制してやる為に近付いただけだったのだが、少しばかり転校生に興味が湧いた。
別に顔が好みだったからとかそんなくだらない理由ではなくて、もっとずっと簡単なもので。
「助太刀なんか必要なかったな」
眼前には呻き声を上げながら地べたに懐いている不良グループ。自分の横には少しだけ困ったような顔をした転校生。
様子見ついでに転校生の傍を離れて見れば、案の定ここぞとばかりにクラスの馬鹿な不良グループに連れ出されてしまった。
先回りして校舎裏の特等席、桜の古木によじ登って様子を窺っていると、彼を連れ立って馬鹿正直な不細工面が足元に並んだ。
意気がるな、なんて在り来りないちゃもんをつけ、不良グループのリーダーである佐久間が彼の足元へ唾を吐きかけた。思っていたより面白くもない展開に早々に彼への助け舟を出そうかと考えを巡らせ、しかし見下ろした先の彼の表情に一瞬瞬いた。
彼の表情には、恐怖がなかった。
口許を片手で隠し首を傾げた姿からは、困った、という困惑の感情以外が感じられない。
肝が据わっているのか、はたまた状況が飲み込めない程おっとり思考なのか。それが判別しかねて、木の枝から身を乗り出した所で固まった。――――と、そこで彼がこちらを振り仰いだ。
目が合った。
それは時間にすれば一秒にも満たないものだったけれど、彼が薄く笑ったのが分かった。
(面白ぇ…)
乗り出していた身をひっこめて太い幹に背を預ける。そうして態度を繕ってから口を開いた。
今度こそ、彼に纏わり付く不細工面をぶちのめす為に。
「京一…ありがとう」
転がってる潰れ大福に一瞥をくれてやると、楚々と彼が顔を覗き込んできた。傾けた頭で前髪が流れ、微笑する綺麗な顔が顕になった。けろりとしたその様子に思わず苦笑が零れる。殆どの不良グループを地に叩き潰した張本人とは思えない穏やかさだったからだ。はっきり言って自分が手を出すまでもなく、不良グループ達は揃って潰れ大福になる運命だったのだ。余計な事をした、と言うと、ふるりと首を振って彼は口許に笑みを佩いた。
「京一が、いるって知っていたから…安心した」
やはり気付いていたらしい。
しかし、自分が気配を隠さなかったのは木の上から身を乗り出した一瞬だけだったというのに、彼はそれだけで気付いたというのだろうか。
それに、この美少女然とした風貌の彼が、あっという間に不良達を倒してしまっただなんて、こうしてその場にいた自分でさえ信じにくい。
「…お前、面白い奴だよな」
「?」
細い腕や綺麗な顔をまじまじと見遣ると、不思議そうに傾げられる頭。それに、何でもない、と笑って改めて向き直った。
「これから宜しくな、緋勇」
わらわらと集まってきた顔見知り連中の声に肩を竦めつつ笑えば、緋勇もまた、返事の代わりにふわりと微笑んだ。
出会い編。
ひたすら京一視点。
「最初っから何癖つけられんのは流石に」と思って盾役をしていたけれど、そんなもの必要ない程強かったひーちゃん。ギャグだったら京一さんきっとキュン死にしてる(笑)
ひーちゃんは京一の好みのタイプですが、現段階では「こんな顔した男いるんだなぁ」止まり。今は面白い奴来た!ってワクワクの方が大きいらしいです。
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