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★諸注意★
・九龍妖魔學園紀で皆守×主人公です。
・主人公の名前はデフォルトの「葉佩九龍」。
・続きモノです。
・それでも宜しければ続きからどぞ。





It's a beautiful days.⑤『五里の霧中』





体内時計がかちりと起床の時間を知らせた。よっぽどの事がない限り狂う事のないこの時計が今は少し恨めしかった。気怠い、という生易しいものではない鈍い痛みに全身が苛まれていようとも、着実に覚醒していく頭にうんざりする。
ぽっかりと開けた視界にまず入り込んで来たのは、思っていたより日に焼けた、それでも幾分生白い肌だった。首から鎖骨にかけて筋が浮き出たそれにぱたぱたと瞬いて、ゆっくりと起き上がる。ずるりと肩から滑り落ちたものにぼんやり視線を落とした。初めに視界に捉えた肌と同じ色をした腕が転がっていた。

(肩、抱いてたんだ…)

しかも……よく見れは腕枕まで…?
自分が頭を預けていたモノをまじまじと見遣って少しだけ可笑しくなる。随分と可愛い事をしていたものだ。
腕枕の経験なんて数え切れない程あったが、大抵相手が寝苦しくなって直ぐに外されていることの方が多かった。どれくらい眠ったのか定かではないが、短くはないその間、ずっと彼が耐えてくれていたのかと考えると自然と微笑が零れた。

「…ぅ…、ん?…」

物珍しくて皆守の顔を覗き込んでいると、腕の違和感に気付いたのか、彼の瞼がうっすらと上がった。ぼぉっと視線の先にある自分の顔を眺めている。

「甲ちゃん、おはよう?」
「……………………ぁ、?…」

もう朝だよ、と告げても、のろのろと瞬きを繰り返すだけで、彼の意識は一向に覚醒する気配がない。

「あと…ぃ…ち………じ…か…………」

腕を額に翳しごろりと寝返りを打って仰向けに。ふぅ、と零された吐息に一瞬口を開けた。

――――寝惚けてる…?

緩やかに上下する胸元を唖然と見遣り、次いでそろそろと片手を彼の髪へ差し入れた。軽く梳くと、ん、と気持ち良さげな声が洩れた。
どうやら起き抜けに葉佩の顔が間近にあった不自然さより眠気の方が勝っているらしい。
その結論に至り、途端に葉佩は可笑しくなった。
抱いていてくれたり、腕枕までしていてくれる健気さを見せたと思ったら、それをしていた事すら忘れて身体が休息を求めるままに睡眠を強請る。

(何その可愛い反応)

彼を起こさないように忍び笑う。
夜中を過ぎてまで激しい運動をしていたのだから、睡眠大事の彼にしみたら眠くて仕方ないのだろう。ほぼ自業自得のようなものだが、彼を誘った己も同罪か。

「…………」

――――同罪?

葉佩は瞳の色を暗くしてくすりと嗤った。
皆守の好意を逆手に取って、こうなるように仕組んだのは己だろうに。
今思えば、皆守の好意は、傍に居られれば、というささやかなものだったのだろうと判る。――――己はそれを踏みにじったのだ。

煽って。煽って。煽って。

彼の気持ちを置き去りに、欲に流させた。
それは確かに己の策だ。思惑通りだ。この手に、堕ちた、手応えもあった。
ちょろいな、と考えながら、素直に喜べない。
それはきっと、行為の最中の彼の表情。
辛い。悔しい。痛い。哀しい。苦い。虚しい。

そして、ほんの少しの、嬉しい。

冷静になれば、判る。
己は皆守を傷付けた。
いつもなら、甘ちゃんが、と鼻で嗤っているところだ。
仕事の為だ。人一人傷付けたぐらいで、と今までなら気にも留めなかった。だからこそ、こんな結果になっているのだけれど。

調子が狂ってきている。
少しずつ。砂時計の砂が落ちるように。
手駒の一つ。パズルのピース。
それだけだと思っていた相手に、こんなにも掻き乱されるなんて。
困った。
己の感情さえ掴めない。
手の内に取り込もうとして、逆に取り込まれたような気さえする。
だけど。

「そうじゃ……ないんだろうな」

皆守にはそんな気はないのだろう。取り込もうとか、取り込まないとか、そんな気はなかっただろう。あったのは、唯々ひたすらに葉佩と自分の心に向き合う儚げな強さ。

彼の、気持ちが知りたい。

何かを吹っ切ったように見えた、彼の気持ちが知りたい。
今、俺の事どう思ってるのだろう。
今、俺はどんな位置にいるのだろう。
俺は、まだちゃんと甲太郎の心の中にいるのだろうか。

「おかしいな…」

こんな事、初めてだ。

――――ねぇ、甲ちゃん。

俺は初めて、嫌いにならないで、と祈りました。








意識し始めパート2。
寝惚MAXな甲太郎さんの横で考え中。
うとうと中の甲ちゃんに代わって、葉佩が迷走中。
お互いに一方通行で、書いててヒヤヒヤしますね…!
これ本当にくっつくのかなって。

続きます。

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