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★諸注意★
・黄龍妖魔學園紀(九黄同時存在)です。
・主人公の名前はデフォルトの「緋勇龍麻」「葉佩九龍」。
・京一×龍麻前提です。
・それでも宜しければ続きからどぞ。





龍麻が高校生になった。
勿論ハタチは過ぎてる立派な大人だけれど。

 

 

「助かりましたぁ。龍麻さんが一緒で心強いです」

これから宜しくお願いします、と頭を下げた少年に、おぅ、と曲げていた口を戻して頭を掻いた。
あどけなく笑う少年は、数週間前にエジプトで出会った少年だった。
高校以来の友人である如月から、仕事でエジプトの空港に留まっている、同じく友人のアランへ荷物を届けて欲しいと依頼をされ、龍麻と二人観光も兼ねてエジプトへ飛んだ。その時に出会ったのだ。たまたまぶつかった際に落として行った荷物を届けた事が始まりだった。

「お前ら、こいつの手助けしてやってくれねぇか?」

荷物を届ける途中、柄の悪そうな男達に追いかけ回されていた男性を助けたのだが、なんとそれが少年の知り合いだったのだ。少年の仕事上の上司だと言った彼に、自分の分と少年の分の礼がしたいからと、行きつけなのだという店で食事をご馳走になる事になった。
その席で、彼等が《宝探し屋》なる仕事を生業にしている事を教え、陽気にそんな機密を打ち明けてくる二人に悪い奴じゃない事を感じ取り、自分達もなんでも屋をしている事を告げた。お互いに碌でもないな、と笑い合って、昼間からであったが酒も進んだ頃、男がふと少年の背を叩きながら言ったのだ。

「日本で一緒に学生やってみねぇか?」

正式に依頼するぜ、と笑った男は、否やを告げる前にさっさと携帯らしきものを取り出すと何処かに電話をし始めてしまったのだった。

 

 

「協会長が勝手に人員突っ込み始めたのには焦ったけど、龍麻さんとぉっても有能で大助かりでしたー!京一さんも外からのフォローありがとうございまーす!」

にこぉ、と満面の笑みだが、妙に胡散臭いそれに苦い笑みを返しながら、京一は少年の横にいる相棒を見遣った。

「ひーちゃん…葉佩以上に似合ってんな…………制服」
「ホントに成人男性か疑う程似合ってますよねー…俺高三っていうか新入生みたいなのに」

齢二十を数年前に迎えたというのに十代より学生服の似合う相棒は、きょとりと両目を瞬かせ、そんな事は、と少年に向き直った。

「九龍も…似合ってる」

にこりと、こちらは裏のない笑顔を見せ、龍麻は少年――――葉佩九龍の手をぎゅっと握って遣った。途端に真っ赤になって俯いた葉佩だったが、くくっ、と肩を震わせた京一に慌てて顔を上げて丁重に龍麻の両手を放させた。

「済みません。つい落とされかけました」
「別に気にしちゃいねぇよ。うちの連中も男女見境なく似たように落とされてっから」
「成る程。流石龍麻さん」
「…それより、俺を呼び出したのは龍麻の制服姿見せる為だけじゃねぇだろ?用件は何だ?」

龍麻と京一の関係を知っていた葉佩は、馬に蹴られる前に、と顔にでっかく書いて京一に頭を下げた。しかし京一としては昔から龍麻のそんな必殺技には慣れっこだったのでそれにはあっさりと頷いて見せるだけだったが、次いで徐に龍麻の腕を引いて葉佩から距離を取らせた。薄笑いさえ浮かべたままのその表情に、間違えようもない殺意を感じ取りながらも、葉佩もいっそ朗らかに、そうでした、と笑って見せた。

「遺跡、見付けたんですけど…龍麻さんと相性良いか悪いかが俺だと判断出来なくてですね…京一さんに見てもらおうと思いまして」
「……龍麻に危険がある場合契約終了って知ってて、よくもまあ、面と向かって俺にそんな事言えたな」
「良いか悪いか不確定なまま龍麻さん連れ回してうっかり何かあったりしたら、契約終了所か俺が叩っ斬られますからね。ダメならダメで早々に引き上げて頂けると助かります」
「言うじゃねぇか…餓鬼が」
「うっふっふ。伊達にハンターやってません」

張り付けた笑顔に京一が低い声を出しても葉佩の表情に変化はなく、板挟み状態になった龍麻が困ったように二人を見比べ始めた頃、先に京一が表情を緩めた。

「ま、龍麻がそう簡単に怪我するとは思えねぇけどな。それに――」

一度言葉を切り、背後の部屋のドアを見遣った京一が、時間切れだ、と肩を竦めて見せた。と、直ぐにとんとんと来室を告げるノックの音が響いた。

「葉佩?いるんだろ?」

低い眠たげな声が部屋の主を呼んだ。
一瞬で気配を殺した京一がいつの間にか窓枠に足をかけているのに気付き、葉佩は一度そちらへ頷いて見せた。あとでな、と声無く動いた口にもう一度頷き返すと、京一はあっさりと窓から身を踊らせた。京一が去った窓枠に腰掛けた龍麻が、無事に下に降り立ったのであろう京一へ向かって手を振っているのを目の端に止めつつ、葉佩は出入り口のドアへと向き直った。

「おい、葉佩?」
「……ごめんごめん。今開けるから」

再度呼び掛けられた声に明るく返しながら、くしゃりと前髪を掻き乱した。
良策か愚策かどうかまだまだ分からないが、上司の見込んだ通り、龍麻も京一も使えそうな人材ではある。扱い方を間違えれば途端に己の首は落ちるだろうが……。

(遺跡だけで手一杯だっていうのに……)

面倒事は続くものらしい。
厄介な、と内心で嘆息しながら、葉佩はドアに手を掛けた。

「何か用?甲太郎」

――――立っていたのは、面倒事の内の一人である友人だった。



焦点がフラフラしていて申し訳ありません。京一だったり葉佩だったり。
どっちもそこそこ書いたからチャレンジ!と思いきって見ましたが、案外難しいですね同時存在……。ていうか京一出張り過ぎ。
今度は甲ちゃんも絡めた話でも。ひー様に絆される甲ちゃんとか凄い大好物です(うわぁ)

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