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★諸注意★
・尚隆×六太前提です。
・でも尚隆ほぼ全く出て来ません。
・黄昏ネタ。
・それでも宜しければ続きからどぞ。





――――大人しく待っていろ。
破顔して頭を一つ撫でていった大きな手は今は遥か彼方。
最初に促したのは自分で、覚悟――――というのは可笑しいかも知れないが、しっかりと出来ていると、自分では思っていた。
それなのに、遠くもう見えない背中を見つめたまま動かない身体。いや、全く動かない訳ではない。

(ガキだなあ…)

苦笑して、六太は両腕で自分の肩を抱いた。全身に伝播した震えは容易には収まらなかった。
使令に守らせてあるとはいえ、不安は広がるばかり。
たった一人の自分の王。本当は離れたくなどない。

「…………尚隆…」

呟いた言葉は吹き抜けた風に散らされ一瞬で掻き消えた。

「ろーくた」

抱きすくめるように廻された腕を追って見上げた顔は、困ったように笑った。ぎゅっと腕に力を込めた愛らしい金の髪の少女の表情は、常とは違い強張っていた。

「氾麟」

悪い、と言って、六太は必死に笑顔を作ったが、どうやら失敗したようだ。氾麟の表情が曇り、ごめんね、とその口が動く。それと同時に、ふと隣りに気配が寄ってきて、それが氾麟の主である事に気付く。
意味深な笑みがその顔に浮かんでいるのを見て、ばつが悪くなって視線を思わず逸らした。途端に、ふふ、と忍び笑いが聞こえ、ふんわりと布に包まれる感触に驚いた。

「変わらんのう」

氾麟ごと自分を抱きしめている彼の王は、何処か見透かしたような瞳を細めた。
いつも済まないね、と言ってぽんぽんと陽色の髪を撫でた。
六太はふるふると頭を振った。

「泣けとまでは言わぬが、もう少し肩の力を抜いた方が良かろう」

ぽんぽんと、頭を撫でていた手が肩を叩く。
六太は抱いた二人の腕にほんの少しだけ身体を凭れ掛けさせ、良い匂いがする、とぽつりと呟いた。
頭上でまた忍び笑いが起こる。今度は二人分。

「済まぬのう。猿王のように馨しい匂いではなくて。さぞ居心地が良かろう?」

どうだろ、と六太は少し笑った。氾麟がギュッと抱き着いてきた。

「六太、ありがとう」

何に対しての言葉か分かってはいたが、六太は、うん、と一つ応え、口を閉ざした。そのままなすがまま、ぼんやりと抱かれたまま沈黙する。いつの間にか震えは止まっていた。

「あれが死ぬような可愛いものとは思えんよ。――ではな。そなたも今の内に少しは休むことじゃ」

最後に同じように頭をぽんぽんと撫でていった手は、視線を投げた時には既に氾麟の小さな手を握っていた。振り返る事なく退がっていった二人を見つめ、六太は知らず手を握った。
――――慰められてしまった。
くすり、と自嘲の笑み。
今この場にいる誰よりも長く生きてきた自分。だからこそ、自分が率先してやらなければいけないと思っていた。それなのに、逆に支えられてしまった。
蓬莱に渡る王は誰でも良かったのだが、胎果ではない氾王では支障をきたす恐れがあった。かと言って胎果である陽子は、六太からすれば未だ半人前にも及ばない新米王。到底渡らせる事など出来るわけがない。
消去法、だった。
胎果で、王としての経験も豊富な尚隆が適任だった。
尚隆が渡るのが一番良いと判断したのは自分だ。本人もそう思ったのだろう。渋った様子一つ見せなかった。しかし、判断したからといって、割り切れるものではない。
自分のたった一人の王。
本音を言えば、話を振った時に少しは渋って欲しかった。あんなに簡単に頷かないで欲しかった。離れて欲しくなんてなかった。
そんな事を言えば、自分はよく行くではないか、と笑われてしまうだろうが、子供の駄々のようなこの感情はそんなにも強かった。
采配をふるいながら、必死に不安を抑制していた自分を、果たして主は分かっているのだろうか?

「――尚隆」

飛び出しそうな自分を叱咤して、六太は踵を返した。
泰麒を迎える準備をしなければならない。
大丈夫、と自分に言い聞かせて、足早に陽子達の元へと向かう。
自分がしっかりしなくてどうする。帰ってきた尚隆に笑われるのだけはごめんだ。
不意に通り過ぎた風に後ろ髪を引かれても、もう六太は一切頓着しなかった。



黄昏を読んで「六太…!」と思ったシーン。
この辺私的に景主従が空気でした。全部延主従の所為だ。
ていうか、一番ちっさく見えて実は六太が一番お兄ちゃんなんですよねぇ。先頭に立って陣頭指揮してるの六太ですし。なんだかんだ言って。
延主従だけで見るとそんな感じしないんですが(苦笑)
でもそんな頑張りやな六太が可愛くて仕方ない。
私が(どーん)

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