・雉明が壇にじゃれる話。一見すると雉明×壇です…。
・主人公×壇前提です。
・主人公の名前はデフォルトの「七代千馗」。
・短めですが、それでも宜しければ続きからどぞ。
ん?、と燈治は口を引き結んだ。
目の前には淡い銀髪の青年。そして彼にぎゅっと握り締められている自分の両手。
燈治は引き攣った笑みで、青年の顔を覗き込んだ。
「雉明…?」
名前を呼ぶと、ふんわりと青年が笑った。
「壇、好きだ」
心持ちはにかんだ口許を思わず凝視したあと、燈治は盛大に溜め息を吐いた。次いで尚も微笑する大型犬のような彼に首を竦める。
「千馗か?」
問えば素直に頷かれる。これでは苦笑するしかない。
「こうやって、好意を伝えるのだろう?千馗は、五十四点だと、言っていた。…しかし、初めは五十四点ぐらいで良い、とも言っていた」
偉そうに高説する様が頭に浮かんで燈治は堪え切れずに小さく吹き出した。馬鹿決定だ、と頭の中でその馬鹿をぶっとばして置く。
つぶらな、と云うのだろうか。どちらかと言えば切れ長の瞳が、真っ直ぐに自分を見ている。今度は、ご褒美を待つ忠犬みたいだ、と心中で呟いて、燈治は握られたままの両手で、優しく雉明の手を握り返してやった。途端に嬉しそうに目許が崩れた。その様子につられて口許を緩ませ、燈治は首を傾けた。
「雉明、因みに百点はなんだ?」
一瞬きょとりと目を丸くした雉明だったが、直ぐににっこりと笑って燈治の両手を離した。次いで両腕を横へ大きく広げる。この時点で燈治は次にどうなるか予想が出来ていたが、あえて知らん顔を通した。例え千馗が教鞭をとっていたのだとしても、一生懸命な雉明を無下には出来ない。
されるがまま、広げられた腕に抱き寄せられ、そのままぎゅっと抱き締められた。
間近にある笑顔に、自然と笑みが零れる。
「壇が好きだ」
子供が母親に甘えるように抱き付いてくる雉明に、千馗がベタベタに甘やかす気持ちが分かった気がした。無条件に向けられる好意がくすぐったくて仕方ない。
燈治も小さく息を吐いて雉明の背に腕を回した。
「俺も好きだよ」
雉明に尻尾があったなら、絶対に振っているんだろうな、と苦笑して、燈治は背中をぽんぽんと撫でてやった。
「ねぇねぇねぇねぇいちるさん何してるんだと思う?二人とも抱き締めて良いと思う?がばっといって良いと思う?」
「やぁだ千馗くん、犯罪者にはならないでねぇ?」
「…アレに妙な悪影響を及ぼしてるのはそなた達か……」
アレ=雉明
白に凄い可哀相な目で見られる雉明。いっそ憐れまれてる。執行者様は分かっててやってます。狙い通りでガッツポーズです。
うちの七代さんが白黒コンビに甘いというのを最近発見しました。別の話考えている時に、雉明も白も甘やかす甘やかす。そして同じように執行者を甘やかす番人。お互いベタベタです。燈治にとはまた違った甘ったるさです。燈治もこれなら仕方ねぇなあ、と段々思い始めてます。
そして冒頭の雉明の問題発言ですが、ラブではなくライクです。好き嫌いの好き。仲間として?友人として?の好きです。
燈治も初めはギョッとなりましたが、あぁあの馬鹿か、と直ぐに千馗の仕業だと気付きました。ライクの方ね、と。
元から面倒見の良い燈治さんなので、一生懸命な雉明に最後まで付き合ってくれます。でっかいワンコみたいだ、とか始終思ってますけど(笑)
それにしても燈治と雉明のセットは、どうしてこう、馬鹿可愛いんでしょうか?
この記事にトラックバックする: |
12/ 11/4 |
ALL TIME |
-- |
・剣風帖京主で直参 ・京主・天童外法主あり。 ・壬如・皆主あるかも? |
12/ 12/? |
冬コミ | -- |
・鬼祓師主壇で申込済み ・各新刊あり。 |
◆十二国記◆ ◆東京魔人學園伝奇◆ & ◆九龍妖魔學園紀◆ 魔人主受サーチ ◆東京鬼祓師◆ ◆応援&参加イベント一覧◆ 壇主壇アンソロ 壇きゅんにキュンキュンです! ALL TIME |