忍者ブログ
MASTER →  ADMIN / NEW ENTRY / COMMENT
ここは二次創作を主に取り扱うよろずジャンルブログサイトです。「同人」「BL」「女性向け」などの言葉が嫌いな方、知らない方の閲覧、公的な場からのアクセスはご遠慮下さい。また出版社ならびに放送局などの関係者様各位とは一切関係ありません。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

★諸注意★
・麒麟出奔中のある日の雁国。
・尚隆×六太、帷湍×朱衡前提です。
・皆揃って『大人げない』事してますが、それでも宜しければ続きからどぞ。





ちょっとお待ち下さい、と言って朱衡は思い切り腕を突っ張った。

「主が良いと言うのだからいい加減諦めろ」
「どこの国に王にいきなり抱き着かれて喜ぶ官吏がいますか!」

朱衡は自らを羽交い締めにしている主の胸をぐいぐい押しながら叫んだ。しかし、到底朱衡の細腕が十二国一の剣豪に敵う筈もなく、無意味に腕が疲れるだけだった。

「良いではないか、知らん仲じゃあるまい」
「誤解を招く言い方はおやめ下さいませんか」
「幾度も共に夜を過ごしたではないか」
「えぇ、えぇ、勿論ございますとも。主上の仕事が終わらなくて、何度となくご一緒致しましたとも」
「さてな」

尚も擦り寄ってくる主に、朱衡は顔を背けた。
成笙が席を外した途端にこれだ。朝から機嫌が悪いのは分かっていたが、こういう事になるとは思っていなかった。想定外だ。いや、思うわけがない。
ぐぐっと縮まった顔の距離に朱衡が内心で絶叫すると、突然主の頭をすかんと殴るものがあった。そして一瞬緩んだ腕の中から、朱衡は引っ張り出された。

「何をしとるんだこの昏君が!」
「成笙、帷湍…貴様ら」

後頭部を押さえながら呻く主に、冷淡な顔をした成笙が失笑した。
気配に聡い尚隆が、成笙なら未だしも帷湍が室に入って来た事に気付かぬわけはなかった。大方怒鳴られるくらいで済むと思っていたのだろうが、そんな甘い考え方など、成笙はとっくの昔に捨てていた。
成笙は柄を鈍器代わりにした太刀を腰に納めると、朱衡の方へ頭を巡らせた。
帷湍に抱き留められている朱衡は、心底ほっとした様に帷湍の腕の中にいた。

「済まん。大事ないか?」
「えぇ、私も気を抜いていたので」

朱衡が苦笑すると、帷湍が盛大に嘆息した。

「気を張る、気を抜く、という話ではないだろう。全く目を離すと直ぐに問題を起こすのだからな。反省と言う文字はお前の頭の中にはないのか」
「別に良いではないか、減るもんじゃない」
「お前に触られただけで大事な何かが減るわ!」
「台輔に言わせると、触れただけで孕む、と言う事だな」
「――孕む?」

ぼんやり言った後ぎょっとなって腹を押さえた朱衡に帷湍も顔を青くした。言った本人の成笙だけが尚隆相手に目を眇める。
尚隆はそんな成笙を真っ向から見据えて、ふふん、と笑った。

「孕むかもなあ、俺は胎果だからなあ。そうしたら本気で朱衡は後宮住まいだな」
「馬鹿馬鹿しい」

一蹴した成笙は、青くなっている帷湍と朱衡を見遣って一つ嘆息した。

「そんな事が起こるのなら、今頃台輔は数え切れない程の子供を産んでる事になるだろうが」
「あぁ、そう言えば」
「そうですね」

帷湍はともかく、突然の事に頭の回転が鈍っているらしい朱衡も、今頃気付いたかのようにぱちくりと瞬いた。それに成笙が肩を竦ませてもう一度尚隆を見遣る。

「お前も官吏相手に拗ねるな」
「拗ねてなどおらん」
「台輔が出奔して早十日。恋しいのは分かるが、朱衡の優しさに付け込むのはやめろ。自重する事を覚えろ」

言って、にっ、と笑った成笙に、尚隆は頭を押さえたままそっぽを向いて傍にあった椅子に座った。もうさほど痛みなど無いだろうに、何度も後頭部を撫でるその意味を推し量り、朱衡が小さく嘆息した。主上、と呼び掛けると同時に足を踏み出そうとして帷湍に止められる。見上げると心配げに眉を寄せた顔。視線には小さく棘が含まれている。困って正面を見れば、成笙すら朱衡と主の間に体を置いたままだった。

「甘やかすとろくな事にならんぞ」
「成笙」

窘める声を出し、そして帷湍の腕を軽く叩く。ほんの少し睨むと帷湍は渋々拘束を解いた。
朱衡は主の傍により屈み、その顔を覗き込んだ。しかし主はぶすくれた表情で視線を合わせようとしない。
主上、と呼んで、朱衡は微笑した。

「お傍におりましょうか?」

いい、と素っ気ない返事が返り、朱衡は首を傾げた。

「では、お傍におりましても宜しいでしょうか?」

やっと視線が動いて朱衡の薄い瞳を見返した。じっと睨むように凝視し、直ぐに逸らされる。

「――許す」

ぽつりと呟かれた言葉に、はい、とだけ返し、にっこりと朱衡は笑った。
後ろで、甘い、と嘆息する声が聞こえたが、結局この場に居座る気なのだろう、かちゃりと茶器を用意する音がして、朱衡はそれにまたくすくすと笑った。




尚隆を甘やかす話。でした。
六太さんが遊びに出て、なっかなか帰って来ないので寂しくなってる尚隆さん。だから朱衡に絡んでみたり。じゃれてるだけだって朱衡も分かってるから大丈夫だろうと思っていたら成笙と帷湍に怒られたみたいな。
でも、結局仕方ない奴って思っちゃうんです。皆して王と麒麟に弱い雁国官吏。
何だかんだ言って、尚隆が一番年下ですからね!(六太入れると2番手ですけれど)
雁国はそんな所も大好き!年下に振り回される国!

拍手[14回]

PR
≪  42  40  41  37  36  35  34  33  32  31  29  ≫
HOME
Comment
この記事にコメントする
お名前:
URL:
メール:
文字色:  
タイトル:
コメント:
パス:
Trackback
この記事にトラックバックする:
≪  42  40  41  37  36  35  34  33  32  31  29  ≫
HOME
カウンター
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
WEB拍手
現在のお礼は…
落乱/忍たま>鉢雷
十二国記≫尚六
*ランダム表示*

プロフィール
HN:
四面楚歌
性別:
女性
職業:
同人?(普通に仕事してます)
趣味:
だらだらすることと同人活動…?
オフ情報

12/
11/4
ALL
TIME
-- ・剣風帖京主で直参
・京主・天童外法主あり。
・壬如・皆主あるかも?
12/
12/?
冬コミ -- ・鬼祓師主壇で申込済み
・各新刊あり。
応援&参加
◆十二国記◆
小野不由美同人サイト検索

◆東京魔人學園伝奇◆

◆九龍妖魔學園紀◆

魔人主受サーチ


◆東京鬼祓師◆


◆応援&参加イベント一覧◆
壇主壇アンソロ
壇きゅんにキュンキュンです!

ALL TIME

バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]