・九龍妖魔學園紀で皆守×主人公です。
・未来捏造です。ご注意下さい!
・↑二人揃って《宝探し屋》やってます。
・それでも宜しければ続きからどぞ。
玄関の開く音に、お帰りー、と出迎えもせずに居間のこたつから声を掛けると、少ししてから、ただいま、と静かな声が返ってきた。
本来ならリビングと言うべき部屋には、今は真ん中にわざわざ畳をひいてその上にでーんとコタツなんてものを置いてしまっている為に、和風に居間としか言えないようなしろもろになっていた。そこへ躊躇い無く入ってきた相棒は、キッチン(こちらは流石に台所ではない)の方へ行くと、ガサガサと荷物を選別し始めた。中身は彼の愛しのカレーの材料だ。
「外寒かった?」
今日は何カレー?、とからかいの声を掛ける。ここ五日、夕飯は時はカレーのワンマンステージだった。
鶏に始まり、牛に豚。臭みのある羊や山羊まで出た。まぁ、相棒の腕に掛かれば羊や山羊だろうが絶品なのだけれど。
しかし、流石に週の大半をカレーで彩られると飽きもする。朝と昼は夕飯の反動のように和食中心だが、スパイスの匂いには少々嫌気がさしてきている。
五日続いたのだ。今日もどうせカレーだろうと諦めて、せめてあっさりと鶏肉が良いなー、と甘えた声を出してみると、そうだ、と相棒がはたと瞬いた。
「忘れてた。―――ほら、ケーキ」
「へ?…ケーキ?、何、なんのご褒美?」
忘れてたと言わんばっかりにコタツの天板の上に置かれた小さな箱に、葉佩は大きな瞳を一杯に見開いた。別に相棒がケーキを買う事自体は珍しい事ではないのだが、理由もなく買ってくる事は稀だった。
どんな魂胆かと顔色を窺うと、素知らぬ顔で箱を開いて見せた。
「わあぁっ…」
桃の花びらを降らせたような、ピンクのチョコを削ってデコレーションした可愛らしいホールケーキがちょこんと鎮座していた。真ん中には着物を着た男女のキャラクターのイラストの描かれたカードが刺さっていた。
「お雛様だ!そっかぁ、今日三月三日だったっけ」
「あぁ、好きだろそういう行事」
「うん!……あぁー、でも…これ、女の子の行事でしょ?」
俺関係なくない?
不思議そうに相棒を見上げると、いや?、と口の端を引き上げて喉の奥で笑われた。…やっぱり何か企んでたな?
「うちにもとびきりのお雛様がいるからな……今の内にご機嫌をとっておこうかと」
「……分かってんじゃん」
ふっ、と笑って顎を持ち上げられる。くちゅりと音を立てて唇を塞がれ、次いで後ろに倒される。
「今日は、サラダスパが良いな」
口付けの合間に猫撫で声で笑うと、俺の夕飯が済んでからな、と鎖骨を甘噛みされた。なんだ。初めっから食べる気だったのかよ。
まぁ、今日はずっとコタツでごろ寝してただけだから、ちょっとくらい動いたって良いけどね。
(あ、でも…)
「甲ちゃん、ケーキ冷蔵庫入れてきて」
溶けちゃうから、と胸に吸い付く後頭部をぽんぽんとはたく。少しだけ葛藤する姿を眺めた後、渋々とその姿はキッチンの方へ消えた。
雛祭りネタでした。
甲ちゃんが買って来たケーキは、私自身が実際に買って来て食べたものがモデルです。大変美味しかったです(何)
こたつは甲ちゃんの為にわざわざ準備。でも思いの外あったかくて重宝しているみたいです(笑)
それにしても、改めて見てみてもうちの未来設定の甲太郎氏のデレ度はどうしたことだろうか……。
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