＜ｴｱ春分の刻＞チャイナドレス＜宿題提出＞

★諸注意★
・東京鬼祓師で、主人公×壇です。
・主人公の名前はデフォルトの「七代千馗」。
・壇LOVE、壇一番で、優先順位の最上位はいつも壇。
・壇も満更ではないが、恥ずかしいので唯の『親友』と言い張っている。
・二人の関係は周知の事実。
・『ｴｱ春分の刻』絵茶第２部での宿題提出作品です。お題は「壇でチャイナ服（ドレス）」（どーん）
・って素敵お題↑を生かしきれませんでしたが、それでも宜しければ続きからどぞ。

おかしいだろ、という言葉は切って捨てられた。

「おかしい？何が？似合ってるよ？」

だからちょっと脚組んで見ようか、としゃがみ込む頭を思い切りはたいて、燈治は髪を掻き上げた。

「てめぇ、ただで済むと思ってねぇよな…？」
「え？…うーん、いくら出せば良い？」
「そっちのただじゃねぇよ馬鹿野郎！」

財布の中の札を数え始めた頭をもう一度はたいてから、その胸倉を掴み上げた。

「俺の服を返せ」

口の端だけ笑って声を低める。それでも効果はないと思ってはいたが、予想通り見返してきた綺麗な顔には腹が立つ程の笑みが浮かんでいた。
にこりと瞳を細めて、薄い唇が開かれる。

「絶対に、嫌」

燈治は問答無用でその見惚れる顔に手を伸ばし、加減なしで頬を摘んだ。途端に千馗が肩を跳ね上がらせる。
痛いと抗議の声が上がるがまるっと無視して、事の間中ずっと食器を拭いていた見るからに一般市民とは思えない店主に視線を向ける。じとりと睨むと、察した店主が隻眼をこちらへ動かした。

「似合って、いるぞ…」
「聞いてません」

間髪無しに突っ込む。似合ってたまるものか。
八つ当たり気味に指に力を込める。痛いと言いながらどさくさに紛れて脚を撫でていく馬鹿に制裁を加えながら、燈治は改めて自分の姿を見下ろした。
ぴったりとした生地に、銀刺繍の龍と、艶やかな菊の華が彩色も鮮やかに刺繍された布は、女性もののドレスの様に足首付近まで垂れ下がり、脚に絡み付いていた。サイドには際どく切れ込みが走り、動く度に太股の半ば近くまで掛かったそこから空気が通って酷く薄ら寒い。袖はなく、二の腕の辺りで終わってしまっている布は、裾と同じく豪奢な金糸で縁取られており、細工の良し悪しの分からない燈治も相当な値のするものだと気付いていた。
しかし、何故チャ…………チャイナドレスなのだ。
名称を敢えて考えないようにしていた燈治だったが、己の恰好を認める事からまず始めた。
そう、この服は――――チャイナドレスだ。
しかし既製品では絶対に有り得ない。何故なら、自分のサイズにピッタリだったからだ。
燈治は千馗を改めて睨み据えた。

「この服はどうした」
「…………知り合ひの知り合ひの知り合ひにお願ひして作ってもらひました」

えへ、オーダーメード、と頬を抓られながらも馬鹿が笑う。

「すんごく割り引きしてくれて、十八万程で作ってもらひました」
「…………サイズはどうした」
「触った時の俺の勘」

真顔で即答され、聞くんじゃなかったと後悔した。そして聞き流そうかと思ったが…。

（十八万だと……）

常から荒稼ぎしている千馗にとっては大した金ではないのかも知れない。しかし、そうか、と流せるような金額では到底無かった。
燈治は思わず米神を揉んだ。
店主の態度を見るに、自分の服が簡単に返ってくるとは思えない。あぁ、くそ、洞で海（？）に落とされた辺りから妙だとは思っていたが、こういう事か、店主もグルか。
そりゃ、十八万もの大金を自分の為に使ってくれた事に対しては嬉しくも思うが、これはないだろう。風呂を借りている間に服を隠して無理矢理着せるとか、それはないだろう。

「燈治ー、怒らないでよー」

ね？、と制裁から逃れた千馗が上目遣いにこちらを見上げてくる。ほだそうとでもいうのか、綺麗だよ、と満面の笑みで宣う。だから燈治も満面の笑みで拳を振り上げた。

「お前の服を寄越せ」

どうして直ぐに気付かなかったのだろうか。目の前にずっと似たようなサイズの服がちらついていたというのに。
燈治は無言で千馗の学生服に手を掛けた。

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もっとお色気混じった方が良かったなぁ（総括）
でも主壇ってマイナーだからと抑え気味にやってみました。普段よりはイチャついてない！はず！自信はないが！きっと！たぶん！

**主催様＆お相手して下さった参加者の皆さま**
その節は大変お世話になりました。夜中に長々と半分私の我が儘にお付き合い頂くかたちとなってしまい恐縮でしたが後悔はしておりません万歳春の壇祭り！！！
企画等また何かございましたら是非とも参加させていただきたく存じますので、その際は宜しくお願い申し上げます。
本当に本当にありがとうございました！

あー。皆、親友かこうぜ！（って言ってるお前がかけ）