・九龍妖魔學園紀で皆守×主人公です。
・主人公の名前はデフォルトの「葉佩九龍」。
・続きモノです。それでも宜しければ続きからどぞ。
It's a beautiful days.① 『一寸先の闇』
白々しいとまでは言わない。
しかし、裏を読ませない笑顔。
嘘だとは言わない。
しかし、本来の心からの笑みは稀にしか見せない。
そんな絶えず機嫌良く笑顔を振り撒く《転校生》は、出会って早々に正体を明かした。自分は宝探し屋なのだと。
また面倒な奴がやって来たものだ。こちらが警戒している事に気付いたのだ。
流石に自分の立場までは気付かれてはいないだろうが、早目に取り込むに越した事はないと判断したのだろう。周りには『打ち解けました』と言わんばかりのくっつきっぷりに辟易した。
珍しい者に懐いたものだ、と周囲の目はまるでぬるま湯のような温かさで、それが気持ちが悪くて突き放してみたりもしたが、友達になってよ、とそんな時だけあどけなく笑われて、邪険に出来なくなる自分に腹が立った。
唯の監視対象だったのに。
なし崩しのようにズルズルと距離が近くなって、それが当たり前になってしまった。
理由もなく一緒にいることが当たり前になってしまっていた。
お互いの部屋を行き来するようになって、くだらない冗談やたわいない話をして。必然的に増えていった彼本来の花のような笑みに、自然と顔が緩んでいた自分に気付いたのはいつの頃だったか。一緒にいるのが楽だと、自然体でいられると気付いたのは。
己に絡み付いて離れない、罪や罰と言う名の茨の鎖の存在を忘れたわけでは決してないが、隣で笑うその顔や声に、心がふわりと軽く感じる時がある。
クラスメートの少女やいつの間にか手懐けられた執行委員達。
それらを取り込む手腕を一番近くで見ていて、その上それだけに飽きたらず半ば率先して手助けまでしてしまった。
何故だろうか。
今まで誰にも関心を向けずに日々を無為に過ごしてきたこの自分が、自らの纏う濃い花の香が移ってしまう程の時間を共にしている。
いつだったか、洗濯したものからも同じ匂いがする、と可笑しそうに笑い転げるのを見て、内心愕然としたものだ。
本当に、自分はどうしてしまったのだろうか。
「ねぇ、甲ちゃん」
「んー…?」
己がベッドに横たわり、雑誌を繰っていた俺の腹の上によじ登ってきた生き物に、重い、と一言。それに気にした様子もなく、葉佩は形の良い唇を引いた。
――――常ならば、そんな馬鹿な誘いに乗る自分ではなかったはずなのに。
瞠目する俺に、また悪魔が囁いた。
「甲ちゃん、俺の事…抱いてくれる?」
あぁ、くそ。
なんて使い物にならない脳みそなんだ…。
まだ×未満な二人。
自分がデレ始めている事に気付いてない甲ちゃんに万歳。
続きます。
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